
主人公、『文月史矢(ふみづき・ふみや)』は読書だけが趣味のしがないサラリーマン。
毎日のように小説の主人公のように、女性と『ウマいこと』出来ないかと夢想していたが、
金もない、趣味も地味、オマケに口下手ときては、まさに夢は夢のままだった。
そんなある日、最近ハマっていた歴史小説―クレオパトラ7世の物語―を読みながら、
住み慣れた八畳一間のワンルームマンションのドアを開けた…その時だった。
なんと部屋の一角、多少無理して買ったベッドの上に、ひとりの女性が寝ているではないか。
しかもその女性は彼が読んでいた小説に出てくる、クレオパトラと瓜二つ…!!
―日焼けとは根本的に異なる、美しい褐色の肌。
―グラビアアイドルも色褪せるほどの、見事なプロポーション。
―高級という言葉では推し量れない、黄金と宝石で飾られた衣装。
もはや彼には『クレオパトラ』から目を逸らすことも出来ず、ただ生唾を飲み込むばかり。
しかし、なにか幻覚でも見ているのでは、と頬を抓ろうとした時。
『んん…なんじゃ。そなたは新しい奴●か…ん、んんっ?な、なんじゃ、此処は!?』
目を覚ますなり、褐色の女性は大声を上げ始めてしまう。
一体何事かと聞かれても、それを一番知りたいのは史矢も同じ。
しかし彼女は零れんばかりのバストを揺らせながらベッドから床に降り立つと、
エメラルドの如き美しい瞳に怒りに滲ませながら、史矢を睨み付けてくる。
『答えよ、下郎。そなたは何者じゃ?そして此処…この狭苦しい物置はなんなんじゃ?』
狭苦しいのは否定しないが…史矢は目の前で揺れる胸から目を逸らしながら、
ここが日本であること、この部屋は自分の住み処であることをなんとか告げた。
とはいえ、こんな言葉誰が信じるだろうか。目を剥いて怒鳴ってくるだろうなと
半ば諦めながら女性の目を覗き込んだ時だった。
『ほほう。すると、わらわは転生したのじゃな。呪い師の言った通りではないか。ほほほほ♪』
一体なにを言ってるんだと、史矢が困惑してしまう中、女性は満面の笑みでこう続けた。
それはとても信じられない、しかし彼が夢見ていた生活の始まりを意味するものだった。
『わらわはクレオパトラ7世。この新しい世界のこと、そなたには色々と教えて貰うぞ♪』
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レビューと口コミ
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口コミくん

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